釣りだの、釣り道具だの・・・。
釣りばっかりの話題で面白くねーぞって!
釣りの事しか考えてないだろう!って?
いえいえ しっかり食い意地と、食に対するガキは変わってません。
今晩は、良い魚も出たし、気分も良いので
森ちゃんから送ってきた、「珍多羅」なる、見るからにすごそうな
焼酎を頂くことにしました。

この珍多羅、「おめーら チンタラやってんじゃねーよ!怒!」
と師匠に恫喝されているようなドッキッツとする名前ですが、
なんだかすごそう・・・。

森いわく「僕も未だ飲んだことの無い、すんごいのいきますよ!」
と前ふりのジャブも十分効いている。
「冷凍庫でキンキンに冷やして、トロトロにしてやってください!」期待は高まる・・・。

この芋焼酎、アルコール度数が44.1度〜44.9度とある。
これだけの度数があれば冷凍庫でも凍ることは無い。
トロトロのシロップ状になるのだ。
「すぐに飲まず、冷凍庫でトロトロに・・・。」
送ってくれたのに森はすぐに飲むなと言う・・・。
なんだと!そんな事言わずに今すぐ飲ませてくれよ・・。
すぐに飲みたいのを、ぐっと我慢して冷凍庫へ・・。
待つこと数日。
食材を探す。
今日は旬の「三河のとり貝」のよいのが入った。
冷凍物の韓国産とは違い、甘みネバリの有る歯ごたえがたまらない初夏の絶品だ。
さらに今日は、焼津で水揚げされた、「キハダの極上物とマカジキ とろの生」が手に入った。
これは寿司だろう!と言うことで、寿司シャリを木桶で仕込み、
自前でへたくそながら握りをこしらえる。
敬意を評して、「伝統工芸、江戸きりこのカットグラス」で頂く。
準備はおこたりなくクライマックスがやってくる。

旬のアク ワラビ(山菜の採りたて生ワラビを灰であく抜きしたもの)にナメコをカツオの一番出汁で仕込んだ味噌汁。
味噌は高山朝市の爺様の昔ながらの桶仕込、田舎味噌。

この主張有る食材を、この究極の焼酎が受ける。
ハナタレ(蒸留器内で蒸留する過程で最初にタレ口から出てくる部分を「初垂れ(ハナタレ)」と呼ぶ。
最初のエキスはアルコール度70度あまり。
徐々にアルコール度数が下がり、40度当たりでハナタレを止める。
焼酎は45度まででそれ以上の度数になるとリキュール類の扱いになり焼酎として世に出すことは出来ない。
だから、この当たりのアルコール度数で止めるというのがハナタレの肝のようだ。
ハナタレは生産全体の約2〜3%の量しか獲れない、初搾りなのである。
「珍多羅」「創業明治」「ハナタレ」「無濾過」「一滴入魂」「甕仕込焼酎」と猛烈にジャブが入る。鹿児島の白石酒造 謹製。

冷凍庫から現れたボトルは、あっと言う間に霜に覆われ、クリアーなボトルが白く変わって行く。
繊細なボトルの形にコルクの栓。
調べてみたら、ご主人は美大出身とのこと・・。
このエレガントな酒精とそのこだわりを込めた衣装の感性は「なるほど」と納得させられる。
出来ることならば、こんな素敵な方に、一度お会いしてみたいと幻想は広がる。
江戸きりこカットグラスもキンキンに冷やしてある。
グラスに注ぐと、霜降りたボトルの表面のように、その神の雫もやや白く濁っている。
蜜のようにとろける液体が粘るように、グラスに吸い込まれる。
先ずは鼻を(花に)グラスに当てる。
柔らかく、乾いた土の香が鼻をすり抜ける。
ハナタレだけにアルコール度数が高く、強い刺激とセメダインのようなアタックがあるのか?と思っていたら、アルコールがものすごく柔らかい。
一口含む。
陽だまりに咲く夏の向日葵が脳裏によぎる。
優しく、まろやかに、とろけるようにのどをすり抜ける。
本当に45度近くもあるのか?エキス分のパワーと柔らかさがアルコール分をまろやかに包み込んでいる。
す すごい!
芋焼酎の優しい部分だけを100倍凝縮したような華やかでエレガントなアロマだ。
セイロでふかしたサツマイモのふたをはぐったような甘く香ばしい香と、極上の黒蜜を絡めた栗のような深い香が口から鼻に抜けてゆく・・・。「なんなんだこれは!これでいて芋焼酎か?!」
アルコール度数を感じない、シロップのような液体が真夏のウォータースライダーのごとく喉を滑っていく
全ての常識と、固定概念を凌駕する優しく強く、そしてエレガントな芋の最終形に全てを奪われてしまいました。
とり貝の甘みが鼻に抜け、マグロとカジキの極上の旨味とその鉄分を際立たせる。
芯の通った優しい「チンタラ」が全てを支配して一つにまとめてくれる。
今日の選択は、間違いが無かった・・・。
幸せです・・・・。
参りました。 有難う森ちゃん!!絶品・・・・悶絶・・。