2006年07月10日

コッピ川 2006

IMGP0019_コッピ.jpg2006年 6月12日〜19日、5日間フィッシングが堪能できる予定で、ロシア極東 コッピ川に行ってきた。私にとって5回目のコッピ川は、過去最低のシーマの遡上数で、コンスタントに釣り上げるには相当の苦労を強いられたのであった。今年は豪雪のため雪代が遅くまで続き、平水より1.5m水位が高い。水色は悪くないが過去、実績のあるポイントはことごとく増水のため潰れてしまっている。到着して半日、下流域を中心に攻めてみるが釣れてくるのはクンジャ(アメマス)ガリエツ(オショロコマ)小タイメン(小さなイトウと)ばかりだ。ガラブーシャ(カラフトマス)の遡上も遅れており、一切ガラブーシャの影はない。ガラブーシャを食べるために追って上流から、または海からやってくる巨大なタイメン(イトウ)は、まだ姿を見せていないらしい。シーマと並んでターゲットにしているメーターオーバーのタイメンも確立はかなり低いとのことだ。18センチのミノーを引き倒していたら、それを食いにくるタイメンはずっと上流にいる、小さいミノーに代えろとガイドに言われてしまった。結局初日のシーマ(サクラマス)の釣果は9人中フライマンの釣った1本のみであった。現地のガイドによると遡上が例年より2週間は遅れているとのこと。我々の数日前にコッピ入りしている1人の日本人は4日間でシーマのゲットは5本だと言う。6月中旬では早すぎたのか?不安がよぎる。ファーストランは遡上している、10キロほど上流にいるとのガイドの話がせめてもの救いだ。ガイドを信じて2日目は上流を目指すことになる。相変わらず水位が高く、A級ポイントは増水のためほとんど消滅している。こんなときは増水したときのポイント、流心ぎわの暖流帯が狙いとなる。ようやくシーマが顔を出す!美しい!愛しすぎる!ここまで来た甲斐があった。とにかく絞り込んで狙っていかないと、ラッキーでは釣れない。作戦を立て、狙いこんでゆく中で徐々にヒットの確率が上がってゆく。それにしても最高の年の10分の一程度しかシーマがいない。苦労しながら2.5日で25本のシーマをキャッチ&リリースした。
 2.5日?とすぐ疑問に思うでしょう。実は、環境庁の役人に釣りを止められてしまったのです。前の釣り人は最終日がキャンセル、我々は2.5日でキャンセル、隣のロッジに来る予定の次のグループはハバロフスクでキャンセルになり他の川に向かったらしい。理由は、本年度、海洋水産資源調査を実施したところ極端にシーマの数が少ないとの理由で、急遽、コッピ川の河口から上流40キロにある橋まで禁漁にするとのことであった。これは外国人の我々だけだなく、現地の漁師たちにも当てはまる。我々のフィッシングはストップとなり、漁師の網もボートのエンジンも取り上げられている。何ということだ。イライラと焦りが募る我ら一行であるが、ロシアという国の体制の問題であるから、どうにもならない。
5日の予定が2.5日のフィッシングになったことは残念であったが、個人的には大変意味のある旅であった。いつかのコッピ川は雑になるくらい釣れた。それはそれで、色々なことを試して経験値を高めることができたが、今回のように1匹1匹を丁寧に狙い、作戦を絞り込んで得た25本のシーマとの出会いは難易度の高いスキルトレーニングとなり内容的に納得している。
同行のフライマンは苦戦して、2人とも2〜3本の釣果、ルアーマンも少ない人は1本のみに終わっている。それだけに1本1本の価値が高い。やはり釣りは数ではなく、プロセスと1匹1匹との出会いが大切であるということ、自然の偉大さと人間ではどうにもならない壮大さを改めて痛感した旅であった。
 ところで、気になるところの今後のコッピ川であるが、ロシアの旅行社組合が今回のツアーの苦情と異議申し立てをロシア裁判所に提訴するようである。あわせて今後の釣り及び漁の解禁を求めて嘆願書を提出する予定であるという。資源が守られ、自然が守られ、かつ皆が公平に合法的に釣りが楽しめる、コッピ川であることを望んで今後の推移を見守りたい。現時点では今後の川の解禁は未定である。今回、日程的に不完全なツアーになってしまったが、その事にばかりとらわれると大切な出会いがスポイルされてしまう。あの感動的な出会いを心に、毎晩布団に入るたびグラマラスな銀鱗を思い出してにやけている進歩のない私は、再びロシアの大自然の中、釣りをしている情景を思い浮かべている。(写真は70センチ級 オスのシーマ)
                            田中 秀人
posted by saurus junior at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 釣行記
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